ヴィーガンは健康、動物、環境など、すべてに繋がっている
さまざまな視点からヴィーガンライフスタイルの発信をしているLINAさん
2020/03/05 Lifestyle

ライフスタイルクリエイター・モデルのLINAさん ヴィーガンと出会って、摂食障害やうつ病を克服したライフスタイルクリエイター・モデルのLINAさん。自身の経験を元に、ヴィーガンライフスタイルを通して、食生活だけでなく畜産業や地球環境についても発信しています。そんなLINAさんに、ヴィーガンとの出会いやヴィーガンライフスタイルについてインタビューさせていただきました。
この記事のINDEX
Instagramの一枚の写真がキッカケでヴィーガンと出会う
――ヴィーガンと出会ったキッカケを教えてください。
LINA 私は17歳の頃、オーソレキシアと言われる摂食障害だったんです。食事に対して自分の中でいろいろなルールを作ることで、逆に自分自身を苦しめてしまう病気でした。さらに、うつ病にもなって、肉体的にも精神的にもつらい時期がありました。
当時は、希望もない、情熱もない、楽しくもない、食欲もないといった状態でしたが、ある日Instagramのタイムラインで流れてきた一枚の写真に目が留まったんです。それはスイートポテトにお豆のクリーミーソースがかかっていて、周りに色とりどりの野菜とソースがかかっている料理の写真でした。ただ、当時の私は動物性のものにかなり依存していて、炭水化物全般NGでしたし、野菜もフルーツもほぼ食べなかったので、写真の料理は自分のルールとは真逆のものでした。それにも関わらず、「美味しそう、食べたい」と思ったんです。それから、同じような写真を挙げている人のSNSを見ていると、みんな「#vegan」と付けていることに気付いて、何だろうと思ったのがヴィーガンと出会ったキッカケです。
――そこからヴィーガンについて勉強されたのですか?
LINA はい。最初はセレブの人たちがやっているダイエット感覚のものなんだろうと思ったのですが、調べてみるとただの食生活というわけではなくて、みんなライフスタイルの一つとして実践していたんです。自分の健康のためというのもありますが、畜産業の背景や地球環境のことなど、いろいろなことに繋がっていることが分かり、今まで知らなかったことにすごくショックを受けました。
それから、「せっかく生まれてきたのにこのまま人生を終えていいの」という言葉が毎日のように降りてきて、助けを必要としている人や動物のために、私にもできることがあると思ったんです。それで私も発信したいと思ったことが、ヴィーガンライフスタイルを送るようになったキッカケです。
ヴィーガンについては、当時は日本語で調べても情報がほとんど出てきませんでした。ですから海外から情報を得ることが多かったですね。YouTubeでヴィーガンの研究をしている人の講演やドキュメンタリー番組を見たりしました。あとはヴィーガンの人に話を聞いたりするなど、いろいろなところから情報を集めて勉強しました。
――実際にヴィーガンライフスタイルをしようと思っても、自分の中のルールと真逆の食生活に変えることは大変だったのではないですか?
LINA 本当に大変でしたが、私がヴィーガンライフスタイルについて発信していくためには、まず私自身が元気になってライフスタイルができていないと説得力がないじゃないですか。そこで、マインドが真逆の食生活をしている私が本当にヴィーガンになって健康でいられるのか、摂食障害とうつ病を克服できるのかを自分の身体で試そうと思ったんです。最初はアーモンドを何粒食べたか数えるなど、毎日毎日がチャレンジでした。前のルールに戻りそうになったときは、自分が元気にならないと情報を伝えることも地球も人も動物も救うことができないと言い聞かせることがモチベーションになりました。
ヴィーガンとは食生活だけでなく、畜産業や環境にも繋がっている
――日本ではベジタリアンと同じように思っている方もいると思いますが、どこが違うのでしょうか?
LINA 定義ということでお話しすると、ベジタリアンはお肉や魚などは食べませんが、牛乳、卵などは食べます。それに対してヴィーガンは、はちみつ、ミルク、お肉、魚、卵など、動物性のものは食べません。さらに、毛皮やウールなど動物性の衣類も身に付けませんし、動物性の原料が入っているコスメなども使いません。
――ヴィーガンとは食のことだけではないんですね。
LINA はい。ただ私はヴィーガンの定義はないと思っています。ネットで調べると、「完全菜食主義者」と出てきますが、私はマインドの持ち方だと思っているんです。ヴィーガンマインドですね。私が伝えていきたいヴィーガンライフスタイルというのは強制ではありませんので、ライフスタイルとして誰でも取り入れられるものだと思っているんです。
例えば、お肉を食べるとしても、その牛や豚はどこで誰がどんなふうに育てて、どうやって商品としてお店に並んだのかを分かったうえで食べるのと、全く知らないで食べるのでは全然違うと思うんですよ。なぜかというと、そこが環境や健康に繋がってくるからです。
例えば私が鶏を飼っていたとします。鶏は無精卵の卵を産みますが、ヴィーガンだったら卵を捨てるか肥料にするかどちらかだと思います。しかし、捨てるのは一番サスティナブルではありませんし、私は食べるつもりです。私がヴィーガンとして捉えている定義は、どこまで愛を持って人間らしいチョイスを日常生活の中でできるか。だから誰にでもできると思うんですよ。動物性のものを食べないからヴィーガン、食べるからヴィーガンではないではなくて、動物のため、健康のため、環境のために、例えば、お肉ではなく大豆ミートを買うとか、自分のライフスタイルの中でできることがたくさんあると思うんです。
――食生活だけでなく、動物や環境のことなども含めて、LINAさんが考えるヴィーガンとはこういうものですと伝えるのは、とても難しいことですね。
LINA 難しいです。だからこそSNSで発信していますし、昨年出版したライフスタイルレシピBOOK『+Love』にも、私が伝えたい枠に入れない"ヴィーガン"について、書かせて頂きました。ただ、人それぞれライフスタイルがありますし、人生経験も違うので、その人の中でここまではできるけど、これ以上はできないってあると思うんです。ですから、自分のライフスタイルの中でできるベストを尽くすことが一番大切だと思います。

Instagramやブログで、ヴィーガンライフスタイルについてさまざまな情報を発信しています。
――SNSを見た人から、ヴィーガンについての質問や相談などはありますか?
LINA 10代、20代前半の女の子から、「ヴィーガンライフスタイルに移りたいけど、親にどう説明したらいいか分からない」、「親に反対されていて、どうやって説得したらいいか分からない」といった相談が多いですね。動物性のものを食べないと栄養失調になったしまうと思われているんですよね。親御さんが心配されるのは分かります。私も母にきちんと理解してもらうのに1年かかりました。確かに、ある程度、栄養学を知ったうえで食生活を組み立てる必要はありますが、そんなに深く掘り下げなくてもいいと思うんです。
例えば、たんぱく質にしても、お豆腐だけに偏るのは私の中ではNGです。お豆も、白いんげん豆、ひよこ豆などいろいろありますし、豆腐以外にもテンペや納豆、大豆の発酵食品などを使って様々な料理ができます。他にも、大豆ミートや納豆などもあります。野菜もいろいろな種類がありますし、とにかく何か一つだけではなく、バラエティー豊かに取り入れることが大事です。
日本と海外ではヴィーガンに対する意識が違う
――日本と海外ではヴィーガンに対する意識や理解度は違いますか?
LINA 全く違います。昨年オーストラリアに3カ月間留学していたのですが、メルボルンはヴィーガンとかヴィーガンじゃないとかではなく、ほとんどの人がライフスタイルの中で地球環境を考えています。メルボルンはコーヒーの街と言われるくらい、みんな出勤前などにコーヒーを飲むのですが、テイクアウトするときはタンブラーなどを使います。また、マーケットに買い物に行くときもエコバックと計り売りの野菜などを入れる袋を持参しています。食事に関しても、私が行ったレストランは全てヴィーガンメニューがありました。ですから、ヴィーガンではない友人も、週に何回かはヴィーガン料理を食べています。

メルボルンのレストランでヴィーガン料理を楽しむLINAさん。
――逆に日本では、ヴィーガンライフスタイルの人は外食するのが大変ではないですか?
LINA その質問はよく聞かれるのですが、そんなに難しくないんですよ。日本でもヴィーガン料理のお店は増えてきています。それにイタリアンに行っても、例えばトマトベーコンパスタがあった場合はベーコンを抜いてもらったり、ピザも野菜だけにしてもらったり、ほとんどのお店がお願いすると対応してくださいます。これは和食屋さんとかでも同じなので、そんなに困ることはないんです。
ヴィーガンライフスタイルに変えて摂食障害やうつ病を克服
――昨年出版されたライフスタイルレシピBOOK『+Love』も、ヴィーガンの食生活のことを伝える一つでもあるのですか?
LINA そうですね。私は栄養士の資格は持っていないので栄養学について専門的なことを伝えることはできません。ただ、栄養学を学んでヴィーガンライフスタイルをしている中で行っていた食生活があります。その中で、この食材とこの食材を組み合わせるとお肉みたいになるとかチーズみたいになるとか、皆さんにお伝え出来ることもたくさんあります。何より、美味しくて栄養バランスも良いヴィーガンの食生活を楽しめるレシピをまとめています。摂食障害やうつ病が克服できたのもヴィーガンの食生活のおかげなので、私が体験してきたことを伝えていきたい。その一つが、このレシピ本です。


昨年の12月25日に発売されたライフスタイルレシピBOOK『+Love』。
レシピの他に、ヴィーガンカフェやコスメなども紹介しています。
――ヴィーガンになって摂食障害やうつ病が克服できたとおっしゃいましたが、他にヴィーガンになったことで変わったことはありますか?
LINA 人生が180度変わりましたが、性格も変わりました。もともとすごくネガティブだったんですけど、常にハッピーでポジティブになりました。人との出会いが変わって人生の流れが変わったこともあると思います。精神も身体も美容も全て食に関わっているなと改めて思いましたね。
――今後、取り組んでいきたいこと、目標について教えてください。
LINA ヴィーガンという言葉を前面に出さなくても、ライフスタイルの一つとしてフラットに伝えていけるようにしたいです。そしてクリエイティビティをメインに、例えばレシピ本だったり、ライフスタイルでみんなが使えるノートだったり、アートを通して伝えていきたいものがたくさんあります。そのためには、まず一人でも多くの人にヴィーガンマインドを理解してもらえるように今の活動を継続して続けていきます。

ライフスタイルクリエイター・モデル
LINAさん
日本人の父、スペイン人の母、それぞれの母国を行き来しながら育つ。3歳からモデル活動を開始。摂食障害とうつ病をきっかけに、愛を原点とした生き方VEGANに出会う。以来、環境・動物・健康について幅広い視点からVEGANライフスタイルを学び、未来への希望と生きる喜びに目覚める。近年ではモデル活動と共にトークショーをはじめ、Plant basedレシピ開発や、書籍の出版等、多岐に渡り“地球を守る為に今自分が尽くせるベスト”をモットーに「ライフスタイルクリエイター」として活動中。
アメーバブログ: https://profile.ameba.jp/ameba/linahappy3
Online shop: https://loveforall.official.ec/
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