性の悩みを気軽に相談できて、誰もが安心できる環境を作りたい
TENGAドクターとして性に関する情報を発信している福元和彦先生
2020/01/20 Men's health

TENGAドクターこと、福元メンズヘルスクリニック院長の福元和彦先生 TENGAドクターとして、性に関するさまざまな情報をSNSや講演活動を通して発信されている、福元メンズヘルスクリニック院長の福元和彦先生。さらに自身のクリニックでは、TENGA商品を取り扱い、医療として患者さんに勧めています。泌尿器科医の福元先生が、なぜTENGAドクターとして活動するようになったのか、そしてなぜTENGA商品を扱うようになったのか。その経緯や考え方について、インタビューさせていただきました。
この記事のINDEX
クリニック開業時からTENGAの商品を取り扱い始めた
――いつからTENGAドクターとして活動されているのですか?
福元 2017年5月に福元メンズヘルスクリニックをオープンしたのですが、そのときからTENGAドクターを名乗り始めました。まだTENGAヘルスケアさんも立ち上がったばかりで商品も少なかった頃ですが、まずはクリニックでTENGAを扱いたいとお話して了解を得たんです。
――なぜクリニックでTENGAを取り扱いたいと考えたのでしょうか?
福元 TENGAさんとは、以前から日本性機能学会で面識があったんです。情報交換をしていく中で、今年、日本で開催される国際性機能学会のスポンサーを務めることや、TENGAの医学的なエビデンスを作っていきたいことなど、いろいろな話を聞きました。TENGAさんの「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」という思いが強く伝わってきて、私も性をもっと広めていきたいと思いました。
また、商品を使うことで、性機能障害を持つ方が良くなると思ったんです。実際、私たちも大学病院で患者さんへ治療として勧めたことがありましたが、どこで売っていて、どう説明すれば良いか分からないので、患者さんの目の前で説明して販売したいと考えたんです。
TENGAは基本的に対面で売っていないんですね。今は店舗でも販売されていますが、それまではドラッグストアなどで売られていたんです。そこで、目の前で説明して販売したらどんな反応があるのかなと思って、TENGAを知らない高齢者などにも説明して売り始めました。

福元メンズヘルスクリニックには、TENGAがずらりと並んでいます
――実際にクリニックでTENGAを扱うようになって、患者さんの反応はいかがでしたか?
福元 TENGAという商品名は知らなくても、TENGA自体は知っている人や見たことがある人が多かったので、皆さんきちんと話を聞いてくれましたね。また、ほとんどの患者さんは事前にクリニックのHPを見て来られるので、そこでTENGAを見て「あれは何?」と思って聞いてこられる方もいらっしゃいます。
――ドクターである福元先生がTENGAの商品を扱うこと、さらにTENGAドクターと名乗ることに対して、マイナスのイメージと捉えるお医者さんはいないのでしょうか?
福元 それはあります。ただ、私はTENGAさんと心中するぐらいの覚悟で商品を取り扱っています。医療界では、そんなことをしていいのかという見方もありますが、私は正しいと思っていますし、本当に性を広めたいと思ってクリニックの運営やTENGAドクターとしての活動をしています。
医師会にも入っていますし、医者としてきちんとルールを守ったうえで活動しているので、そこはきちんと許可を得ています。日本性機能学会でもTENGAの発表ばかりしていますが、そこも了解を取っています。私の活動を応援してくれている方もいるので、第二のTENGAドクターが出てきてもいいと思っています。
性の悩みを解決する窓口として開業した福元メンズヘルスクリニック
――なぜ男性医療専門のメンズヘルスクリニックを開業されたのですか?
福元 泌尿器科には医療機関として、前立腺の病気やガンなどいろいろな人が訪れます。しかしメンズヘルスクリニックに来る理由は「悩み」なんです。つまり、病気の人は泌尿器科、悩んでいる人はメンズヘルスクリニックというように分けたかったんですよ。泌尿器科というと、ちょっと行きにくいじゃないですか。そういう意味でも、裏から入って来られるようなメンズヘルスクリニックを開業したわけです。
――クリニックの運営だけでなく、TENGAドクターとして、毎月「TENGAナイト」というイベントを開催されていますが、どのようなキッカケで始まったのですか?
福元 夜飲みに行って、いろいろな人たちと話していると性のことを聞かれるんですね。でも、私が質問に答えると、みんな「知らなかった」って言うんです。例えば、勃起や射精のことなんかも全く知らないんですよ。これは、もっと知ってもらわないといけないと思いました。そんなとき、「イベントをやってみようよ」と言ってくれる人がいたんです。その方がTENGAさんに話をしてくれて、2017年10月に第1回目の「TENGAナイト」を開催することになったんです。
最初は、性のことを知ってもらうためにTENGAさんのことや商品のことを訴えたいという、布教活動のためのTENGAナイトだったんです。

毎月開催されている「TENGAナイト」。ゲストを招いて開催されることもあり、毎回多くの方が参加しています。
――日本は、性のことについてあまり公に話せる環境ではないと思うので、TENGAナイトのようにみんなで性について話して、さらに医療に繋げていくというのは今までなかった試みですよね。
福元 そうですね。第2回はその年の12月に、そして第3回は2018年2月14日のバレンタインデーに開催して、チョコを貰えなかった人にTENGAをあげたんですよ。そのときに初めて勃起とか射精の話をしたんですね。そうしたら、みんなから面白いからもっとやった方がいいと言われて、4月から毎月開催するようになりました。そこから方向性が変わってきた感じですね。
基本的には、真面目に話した方が面白いんですよ。下ネタではなくて医学的なことを話す会にしたいと少しずつシフトチェンジしていったんです。今では、イベントの後にみんなで体験談や悩みなどを話すのも恒例になっています。さまざまな年代の方が参加しますが、素直に自分の悩みが話せる雰囲気なんですよ。みんなに受け入れてもらえるので、参加して悩みが解消しましたと言っていただくこともあります。
ネット社会の今だからこそ、SNSを使って正しい情報を発信
――性の悩みというと、ある程度、年齢が行った方というイメージがありますが、例えば20代でもED(勃起障害)などは起きるのでしょうか?
福元 もちろんです。勃起するにはメンタルがとても大事なので、心が病んでいたり女性不信だったり、あるいは緊張していたりすると勃起しないので、20代でもよくあることです。私が若いころは、年上の人たちと成人向けの雑誌やアダルトビデオなんかを共有していました。そういう意味では、間接的に性の話をしていることになるんですよ。しかし、ネット社会の今はそういうことがありません。それが、悪影響になっている部分もあると思います。ネットで簡単にAVが見られるから、その内容に入り込みすぎて性的欲求がAVで満たされてしまっています。それでセックスでは興奮しなくなるんです。若い人の勃起障害が増えているのは、それが大きな原因だと思います。
ですから私はAVばかり見るのではなくて、妄想してみなさいと言うんです。つまり想像力ですね。今の若い人は、そんなことを想いません。逆に世の中が厳しくなっていますし、そんなこと想ってはいけないというような教育を受けています。だから余計に、今の若者は可哀そうなんですよ。
ですから私は、TENGAドクターとしての活動が昔のような環境に戻す一助になればと考えているんです。ネット社会を規制するのは難しくなってきているからこそ逆にネットやSNSを使って正しい性の情報を発信していけば良いと思うんです。もちろん、講演などの活動も並行して行っていくことも大事です。


2019年11月21日に大阪で開催された展示会「SPORTEC WEST 2019」で講演する福元先生
――福元先生もSNSを使って情報を発信されていますが、フォロワーから性の悩みについて相談されることも多いのでしょうか?
福元 DMで質問を受け付けると、1日20件くらい届くこともあります。Twitterなら、匿名性が高く質問しやすいんだと思います。今はオンラインで気軽にいろいろな相談にのれる時代なんですよね。質問には必ず答えるようにしているので、質問した人はそれだけで安心するんですよ。そういう気軽に相談できる環境は大事だと思います。ただし、文面や写真だけでは判断できない場合は、きちんと病院へ行くように言います。
――女性から質問が来ることもありますか?
福元 ありますよ。女性の場合は相手とのセックスが上手くいかず、悩みを伝えてくることもあります。女性の方が年齢から悩みまで、具体的に書いてきます。そういう意味では、男性の方が性の意識レベルは低いですね。ただ、これは仕方がないことなんです。女性は生理があるので、自分の身体のこととしてきちんと性教育を受けてメカニズムも理解しています。男性もきちんとした性教育を受けられるようにしていきたいです。諦めているわけではないですが、日本の性教育は遅れているというか昔から変わらないですからね。
また、性教育の基本は、親が子供に教えるものだと思っています。ですから、私は二十歳以上の大人に向けた性教育をしていて、これはとても大切な活動だと考えています。
これまでの経験や知識を、本など形にして残したい
――TENGAドクターとして情報発信する中で変わったと感じることはありますか?
福元 正直まだないですね。まだまだこれからです。私の行動がどれだけ広がっているかといえば、講演でもまだ1,000人程度としか会っていません。変えていくためには、TENGAさんも含め、いろいろな人を巻き込んで社会全体で変えていかなければと思っています。そうなったときに、初めて変わったと思えるのではないでしょうか。本当の意味で、性をオープンにしたいと思っている人たちがたくさんいるので、一人でも多く仲間に入れてみんなで盛り上げていけたら良いですね。
――今後チャレンジしたいことなどはありますか?
福元 この2年で経験したことや性のことなどを、本など何か形に残したいと思っています。TENGAドクターのブランド価値を高めるためにも、私の活動を多くの人に知ってもらいたいんです。ただし、タレント活動や講演活動を中心にはしたくないので、そこは守っていきたいです。

医療法人 友心会
福元メンズヘルスクリニック
院長
福元和彦先生
医学博士/日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医取得/日本抗加齢医学会専門医/日本性機能学会専門医・代議員/日本排尿機能学会認定医/日本メンズヘルス医学会会員/日本性科学会会員
2008年川崎医科大学医学部卒業。川崎医科大学附属病院研修医、川崎医科大学臨床助教(泌尿器科学)を経て、2017年に地元・鹿児島県に戻り、医療法人友心会 福元クリニックにて診療を開始。そして同年5月に男性医療専門の医療法人友心会 福元メンズヘルスクリニックを開設。男性特有の悩みを解決すべくメンズヘルス医療を実践。建材は、性をよりオープンにするために世界初のTENGAドクターとして、講演や性に関するイベント「TENGAナイト」開催など、さまざまな活動をしている。

福元メンズヘルスクリニック
鹿児島市山下町12-8-301
TEL:090-7536-0050
http://fukumoto-menshealth.clinic/
https://twitter.com/fukumenshealth(Twitter)
撮影:菊池 友宏
ビノタネについて詳しく知りたい方
お問い合わせはコチラ