より良いものを提供して、お客様に美しく健康になってほしい
身体の外側と内側の両方から美容にアプローチしている山岡正明さん
2019/12/18 Hair salon

有限会社SPUR代表取締役 山岡正明さん 外側だけではなく内側から健康な身体を作ることが美容に繋がると考え、さまざまな技術やサービスを提供している有限会社SPUR代表取締役 山岡正明さん。美容室を経営しながら、食に着目しオーガニックカフェもオープンするなど、その取り組みは多様です。美容と健康を組み合わせたキッカケや今後の展開などについて、山岡さんにインタビューさせていただきました。
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会社組織に疑問を感じ、自分がきちんと評価される美容の道へ
――山岡さんは美容室、カフェなど、さまざまな事業を展開されていますが、もともと美容師になったキッカケを教えてください。
山岡 私は大手家電メーカーの総合特約店で働いていましたが、サラリーマン組織に対して、すごく違和感があったんです。
それで、本当にやりたいことが何なのかを突き詰めて考えたときに、ファッションなどに興味があったんです。そんな中で、ヘアもファッションの一部として重要ですし、美容師は1対1で自分が評価される点に魅力を感じて資格を取得したんです。そこから美容師としてスタートし、6年前に独立、3年前に2店舗目となるオーガニックカフェを併設した美容室SPUR W-loungeをオープンしました。

数多くのトップスタイリストが在籍している美容室SPUR W-lounge
エンジェリックケアやエクラスタトリートメントなど独自の技術を提供
――山岡さんは、特許出願中の「エンジェリックケア」の認定講師をされていますが、これはどのような技法なのでしょうか?
山岡 エンジェリックケアは、特殊な道具(ACコーム)と技術で、髪の毛の形状を変えてボリュームを出しやすくしたり、生え癖のために割れて降りない前髪を降りるようにしたり、髪の毛自体の方向性を変える技術になります。一番の特徴は、髪の毛を切らないこと。さらに薬剤も使わず髪の毛の状態を変える、世界初の技術です。この技術は技術試験と筆記試験を経て、認定を受けたスタイリストだけが扱えます。スタートして3年ですが、現在、海外も含めて200人ほどのスタイリストができます。
私は、小顔補正立方体カット「ステップボーンカット」の認定講師でもあるので、いろいろな技術を組み合わせて独自性を出しています。
――SPUR で受けられるトリートメントコース「エクラスタトリートメント」とは、どのようなものですか?
山岡 これは、知り合いのサロンが開発したトリートメントと、SPUR が独自に開発した天然シルクアミノ酸シャンプー&シルクローションを合わせたものです。従来のトリートメントは、効果的なものがすぐに薄れていく傾向にありました。しかし、エクラスタトリートメントは、矯正やカラーと上手く組み合わせることができ、かつ、艶感や持続性で効果を発揮します。
トリートメントは、いくつか進化させているものがあって、2020年からは髪の毛自体を復元させるトリートメントを始める予定です。
――復元とは?
山岡 髪の毛の中にも実はミトコンドリアがいるんですよ。ミトコンドリアに働きかけるために研究された薬剤があり、それを使うことでキューティクルを徐々に復元していくシステムなんです。トリートメントは、いろいろなものでコーティングしていくという感じですが、もともとの髪の良さを徐々に復元していくという新しい発想です。よく髪質改善と言われますが、本当の意味での改善がなされていません。それを本来の髪の状態に戻していくことで、良い状態にしていくトリートメントです。

――SPURでしか受けられない技術が多いですね。
山岡 やはり、こだわりたいんですよね。肌や髪、あるいは食もそうですが、多くのものは人間が勝手に解釈して作ってきました。例えば、食なら食中毒が出ないよう防腐剤を入れたり、すぐ食べられるようにしたり、便利にするためにいろいろなものを開発してきたんです。それを食べることで自滅している部分もあるわけです。そう考えると、シャンプーなら頭皮に対して良くないといけないですし、化粧品も即効性があるのは良いことですが、肌を傷めないようにする必要があります。なんとか環境と人間を破壊しないで、より人間の力を引き出すものに着目して作るようにしています。
ファスティングに着目し、身体の内側から美容の土台となる健康づくりに取り組む
――山岡さんは、美容師以外にプロフェッショナルファスティングマイスター(一級断食指導者)としても活動されていますが、そのような美へのこだわりや考え方がファスティングに繋がっているのでしょうか?
山岡 そうですね。美容室ですから、カットやトリートメントなど、最初は外側からのアプローチでした。化粧品も肌のことを考えて作っていますが、肌につけることを考えたとき、外部から働きかけられることって限られてくるんですよね。それならば、内側から働きかけられないものかと考えたときに「食」にたどり着いたんです。ファスティングなど食の力、あるいは自然治癒力を高めるための方法などを追求していかざるを得ないんです。
そもそものキッカケは私が今より10kg以上も太っていたときにファスティングを勧められたことです。指導を受けながらやってみたところ、身体の調子がものすごく良くなったんですよ。普段は朝起きるのも大変だったのに、すぐに目覚めて気持ちも意欲的になれて、これは人間としての細胞が目覚めたなと感じました。そこからファスティングについて研究し始めたら、もう抜け出せなくなってしまいました。
――山岡さんの勧めているファスティングは、いわゆる断食とは何か違うのでしょうか?
山岡 基本的には断食ですが、私の場合は栄養バランスの考えられた酵素ドリンクなどを使って栄養分を摂りながら断食することで、人間の細胞を目覚めさせます。人の身体は普段の習慣から作られているので、その習慣を変えれば、体重や体格、心も変わるんです。断食中に消化を止めることによって、普段使いすぎている内臓をしっかり休め、脂肪に溜まった毒をデトックスし、腸内環境を改善することで、全身が生き返りパワーアップした感じになるんですよ。断食後も正しい食の知識で、今までの習慣を改善すれば、この効果は持続します。ただし、普段の乱れた生活に戻れば、元の身体に戻ってしまいます。ですので、2ヶ月に1度はファスティングでデトックスし、体調を常に良い状態に保つようにしています。
――ファスティングで身体の中からキレイにするという考えから、オーガニックカフェ・ラムノをオープンされたのですか?
山岡 そうです。行き着いたところは、やはり内側からの方が効果があるので、ベースとしてそこは大事です。美容って、健康の上にしか成り立たないビジネスなんです。健康でないと、美容室にも行けないですからね。ベースは健康、あとは人間の持っている力です。そこでファスティングをして、悪いものを出した上で良いものに切り替えると、本来の身体の力が戻ってくるんです。
男性も女性も若さや美しさのためにお金をつぎ込んでいますが、そのために欠かせないのは突き詰めると「食」なんですよ。食によって老けてしまうこともありますし、意図せず違う方向に向かっていくこともあります。根本を変えないといけなくて、そのためには食事は欠かせません。だから、オーガニックカフェ・ラムノを作りました。
ラムノでは、お肉など動物性のもの、そして小麦粉や乳製品、白砂糖などもできるだけ使わずに調理して、ローカロリーで身体に良いバランスの取れた料理を提供しています。

美容室に隣接しているオーガニックカフェ・ラムノ。食材から調味料まで、身体にやさしい食事を提供しています。
――美容室とカフェは同じサービス業でも運営方法やスタッフの管理などが違ってくると思いますが、どのようにバランスを取られているのでしょうか?
山岡 基本的には同じサービス業なので、似通っていると思います。人の手腕に比重するところもありますが、飲食の人に美容の動きを求めても無理なので、両方の良いところを伸ばすような考え方でやっています。例えば、カフェのコーヒーを美容室のお客様が注文することもあります。
美容の世界は市場が狭いので、健康を取り入れることで美容室の市場がすごく膨らむと思うんですよ。「健康と栄養と美容」という切り口で、美容業界に新しい風を入れることができると思っています。私の考え方は、アンチエイジングではなくてナチュラルエイジングなんです。歳はとるけどキレイに美しく健康になっていくという、理想の自然美ですね。
世の中を変えるために、ハワイで独自のブランド開発へ取り組む
――山岡さんは美容師として新しい技術を追求したり商品を開発したりする他に、ファスティングやカフェ経営など、さまざまなことに取り組まれていますが、そのバイタリティーはどこから来るのでしょうか?
山岡 そういう性分なんですよね。より良いものを皆さんに提供したいという思いが止まらないんです。あとは真実を知りたいというのもあります。美容師から勧められると、お客様は信じてしまいますよね。その責任をきちんと取らないといけません。そのためには、確かな情報を取り続けることが大切です。美容室には何百万人も通っているので、その人たちを変えていけるのは美容師だと思っています。そういう意味では、美容室から始まる地域創生というものを目指しています。それが美容室、そして美容業界を変えることに繋がっていくと信じています。
――今後、取り組んでいきたいこと、目標などを教えてください。
山岡 世の中を変えられるようなものを作り出したいですね。それは美容の世界を変えながら、世の中を変えていくことだと思っています。やはり「食」と「美容」は切り離せないので、これを日本全国、そして世界へと広げていくためには、ブランドを作らないといけないと考えています。
そこで皆さんが夢を持てる場所はどこなのか考えたとき、ハワイが浮かびました。ですから現在ハワイでカフェと美容室を融合させたブランドを作ろうと動いているところです。もちろん私一人ではできないので、いろいろな人の力をお借りしながら少しずつ形にしていっています。例えば、日本の発酵食品とハワイの食材を使った食事を提供したり、足湯を作って現地の人に楽しんでもらったり、日本とハワイを美容と健康というところで繋げたいと思っています。

有限会社SPUR
代表取締役
山岡正明さん
STEP BONE CUT認定講師 関東以北エリア委員長/エンジェリックケア認定講師/一般社団法人分子整合医学美容食育協会 江戸川支部長/プロフェッショナルファスティングマイスター(一級断食指導者)/トラストコーチングスクール認定講師/ビヘイビアタイプコミュニケーター/食生活アドバイザー
1973年生まれ。大手家電メーカーで法人営業を経験後、美容師に転身。数店舗で店長経験の後、人事コンサル会社を経て、美容ディーラーに在籍し、美容業界を研究しノウハウを構築。 現在は、美容室2店舗、オーガニックカフェ(美容室併設)を経営。サロンに立ちつつ、経営の傍らで美容技術や食育・断食、またコーチングなどと多方面で講師としても活動。 また自社オリジナルのシルク化粧品の開発や販売を行うなど、外面と内面からの真の美容と健康を追求。美容を起点とした地域の活性化を目標に掲げ、2020年にHawaii出店を予定している。
撮影:坂本 康太郎
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