エステ、ヘッドスパ、美容骨盤、すべてトータルビューティーに繋がる
業界の未来を見据え、柔軟な考えで事業展開してきた稲垣恵美さん
2019/10/21 Beauty

ビアンカグループ 代表取締役 稲垣恵美さん ネイルやまつ毛エクステ・カール、ヘッドスパ、美容骨盤などの人気サロンを運営しているビアンカグループ 代表取締役 稲垣恵美さん。現在は、サロンだけでなく、PB商品の開発やスクールの運営など、美容に関する事業を幅広く展開されています。そんな稲垣さんに、美容業界へ入った経緯や、ビアンカグループの経営理念、今後の展望についてインタビューさせていただきました。
この記事のINDEX
インストラクターの仕事と並行し、自宅でプライベートサロンを始める
――ビアンカグループでは、まつ毛エクステ・カール、ネイル、ヘッドスパなど、さまざまな美容サロンを展開していますが、稲垣さんが美容業界で働くことになったキッカケを教えてください。
稲垣 お客としてメイクサロンに行ったときに、初めてサロンのお仕事を知って、「誰かをきれいにする、誰かが喜ぶ、こういう仕事がやりたい」と思って美容メイクの学校に入り勉強しました。卒業後はそのまま1年間、学校のインストラクターとして働かせてもらったのですが、その際に並行して自宅兼サロンのような形を始めたんです。
――インストラクターとして働いていた中で、なぜプライベートサロンを開業されたのでしょうか?
稲垣 インストラクターという肩書はもらっていましたが、基本的には仕事があるときだけ行く業務委託で日雇いのような働き方だったので生活は不安定でした。しかも、出勤日や出勤時間が不規則なので、他の仕事を入れられないんですよ。そこで、自分で空いた時間にやろうと思い、自宅でサロンを始めたんです。
最初は美容メイクのみのサロンでしたが、それだけだと間口が狭いので他のメニューも加え間口を広げて行こうと思ったんです。当時はまだ、まつ毛エクステ・カールなどは珍しくスクールも少なかった時代にまつ毛エクステを勉強してサロンにメニューとして導入しました。
――プライベートサロンを知ってもらうため、どんな方法で集客を行ったのでしょうか?
稲垣 当時はネットよりフリーペーパーの時代だったので、フリーペーパーに力を入れて集客しました。麻布十番という立地もあって、まつ毛エクステ・カールはあっという間に広がりました。あとは自分でチラシを作ってポスティングにも行きました。美容メイクやまつ毛エクステ・カールをやっているサロンが少ない時代だったので、口コミはすごい大きかったですね。今のようにSNSではなく、お客様が知り合いのお客様を呼んでくれる時代でした。ですから、そこまで集客は大変ではなかったですね。
環境の変化や時代と共に変わるニーズに適応し、事業の中身を柔軟に変えてきた
――お客様がたくさん来られるようになって、神楽坂にテナントサロンをオープンされたのですか?
稲垣 実は神楽坂も最初は自宅兼サロンだったんです。麻布十番の1LDKのリビングからスタートして神楽坂のマンションに移りました。そこは3LDKだったので2部屋をサロンにしていたんです。そこで、ネイルメニューもはじめ、その後に、近くのテナントへ移ったという流れになります。
テナントへ移ったのは、お客様やスタッフが増えたこともありますが、妊娠・出産が一つのキッカケです。妊娠した際に「サロンで子供の泣き声が聞こえるのはどうだろう」と思ったんです。神楽坂に移ったときはスタッフが3人いたので、自分だけのお客様は自宅サロンで、それ以外のお客様は近くに借りた店舗で対応するようにしたんです。つまり、プライベートサロンとテナントサロン、両方の運営を始めたというわけです。

赤を基調とした高級感のあるビアンカ神楽坂店
――なぜネイルやまつ毛エクステ・カールを全面に打ち出そうと思われたのですか?
稲垣 神楽坂に移転してから、ネイルとまつ毛で打ち出すようになったのですが、時代的に美容メイクの仕事は減っていくと思っていました。その代わり、美容室に行く感じでまつ毛エクステ・カールやネイルに通う女性が増えてくるんじゃないかと感じていたんです。それで、ネイルやまつ毛に切り替えました。
――当時と異なり、現在はまつ毛エクステなども一般的になりました。競合が多くなった中で、他店とどのように差別化されていますか?
稲垣 まつ毛エクステ・カールサロンやネイルサロンが増える中で、他のサロンさんは単価を抑え集客を考えるようになりました。でも、ビアンカは価格を下げることで集客を考えることより技術や接客の向上に力を入れました。ビアンカのお客様は値段でサロン選びはしないという自信がありましたし、そういうお客様に来てもらいたいと思っていました。結果、ビアンカのお客様はきちんと技術や接客で選んでくださっています。




――そんなビアンカのお客様のターゲットも絞られているんですか?
稲垣 そうですね。40代の女性がメインターゲットです。そのうえで30~50代のキャリアウーマンや、ある程度余裕のある方たちをターゲットにしています。このコンセプトはプライベートサロンの頃から変わっていません。この点も他のサロンと大きな違いですね。なかには現在70歳過ぎで、オープン当時から通ってくださっている方もいますよ。お客様からしたら、安いに越したことはないと思いますが、それよりも人間関係や技術、ビアンカに通うというステイタスといったところを求めているお客様に来ていただけたらと思っています。
――ビアンカグループでは、まつ毛エクステ・カールとネイルの他に、ヘッドスパの「AA JEWEL」や美容骨盤の「AA SEITAI」やトータルビューティーサロン「Bianca市ヶ谷店」も運営されていますが、なぜ他業種のサロンを展開しようと思われたのですか?
稲垣 お客様も私も一緒に歳をとっていますので、どこかが痛くなったり、顔も衰えたりしてきますよね。そう考えたとき、ネイルやまつ毛エクステ・カールだけではなく、美容としてトータルに考えて、他業種に取り組んでも良いのではと思ったんです。
例えば、エステなど通いながら着飾ってキレイにしていても、腰が曲がってたらもったいないですよね。そういうところを治してくれるのが整体ですし、ヘッドスパも同じなんです。顔も頭も皮一枚で繋がっていますから、フェイシャルばかり頑張っても頭もコリをもみほぐさないと顔のトーンは明るくなりません。美容をトータル的に考えるとヘッドスパや整体の延長にエステがあると思うので、トータルビューティーとしていろいろ広めていければ面白いと思ったんです。
あとはご縁ですね。「AA SEITAI」の店長は私の十年来のお客様で10年以上、整体院を現場に出ながら経営していました。いろいろ話していく中で今までの古い体制の整体院でなく美容に特化した新しい整体を広めたいという考えに共感していただけて、今ではビアンカグループの一員になりました。痛いところを治しに来るための整体ではなく、美容のため、身体のメンテナンスのために行く整体です。
骨盤の歪みを治すだけで下っ腹がスッキリしたり、足が細くなったりするんですね。そんな身体にプラスアルファでエステのリンパドレナージュをすることにより倍の効果が出ます。本来の正しい位置に骨を治して、その後にリンパドレナージュしてむくみを取ると、エステだけの効果よりもとても美しい仕上がりになります。
ですから、すべて美容に繋がっているんです。エステ、ヘッドスパ、整体、この三つをやることでトータルビューティーになるんです。そこがビアンカグループの「美のこだわり」のコンセプトに繋がっています。

ヘッドスパ専門のAA JEWEL神楽坂店
――まつ毛エクステ・カール、ネイル同様、現在はエステやヘッドスパや整体のお店も多いですが、御社ならではの強みはどのようなところでしょうか?
稲垣 スタッフにアンケートを取ったところ、整体には「身体が痛いから行く」、「男性が行く」、「おじさんが施術している」というイメージが多かったんです。でも、若い人も男性も女性も本来の位置に骨があれば体型はスッキリしますし、日頃の動きも変わります。ですから、そういう古い体制のマイナスイメージを払拭する整体サロンを作りました。
エステはエステサロンで、ヘッドスパはヘッドスパサロンで、整体は整体院でという現場ファーストでなく、お客様ファーストで考えたときにできる限りのトータルビューティーサロンがあったらいいなという思いです。
「AA SEITAI」「AA JEWEL」のAAはアンチエイジングのAなんです。痛いからではなく、アンチエイジングのためのエステ、整体やヘッドスパなんです。根本が違うんですよ。これが、他店との大きな違いですね。
また、ヘッドスパやエステは女性専門のところが多いんですけど、「AA JEWEL」は男性の方も大歓迎です。実際、ご夫婦でお受けになって癒されて帰られるお客様もいらっしゃいます。女性専用とか男性専用ではなく、アンチエイジングのためのサロンなので、年齢や性別よりも美容に興味あって、美容のため、ケアのためにいう方に来ていただきたいですね。
PB商品の開発やスクールの運営など、新たな事業を展開
――店舗展開していく中で、まつ毛美容液などビアンカオリジナルブランド「B・Rapport R」の開発・販売もされていますがキッカケは?
稲垣 開発を始めたのは約4年前になります。とても気に入っていたアメリカの美容液があるんですけど、関税や薬事法などいろんな問題が出てきました。そのとき、やはり国産が良いと思ったのがビアンカオリジナルブランド「B・Rapport R」を作った一つのキッカケです。化粧品会社に勤めているお客様に相談したら、工場や営業などいろんな方をご紹介していただき、そこから自分たちの好きな成分で作れることを知りました。ビアンカのお客様に安心・安全なものを届けたいという現場あがりの私の思いです。ビアンカの商品は、目の周りに使うものなので安全なことが一番で、次にきちんと結果が出ることが大事です。「プロのアイリストが開発した本物のアイケアー」がコンセプトです。実際に作ってみるとお客様も喜んでくれていますので、これから新しい商品を作っていきたいと考えています。

クレンジングジェル、EYELASH FOAM、EYE‘S REMOVER、MICRO PATCH、まつ毛美容液、まつ毛トリートメント、ボリュームアップマスカラなど、ビアンカのオリジナルブランド「B・Rapport R」
――ビアンカグループでは、サロン以外にスクールも運営されていますよね。これは人材の育成を考えられてのことでしょうか?
稲垣 そうですね。スクールは利益を上げることより、ビアンカグループに入ってくれる方が増えれば良いなという考えで運営しています。弊社のように多店舗展開していると求人募集をしても経験者ばかりが来るわけではありません。未経験者を美のスペシャリストへと育成することを目指しています。
スクールでは弊社のサロンワークや技術を教えて、卒業後は経験者としてビアンカグループに入社できるんです。その場合は、授業料は全額免除になります。
美容が一つの「美学」として捉えられる社会を作りたい
――最後に、今後の展望について教えてください。
稲垣 今は女性だけでなく、男性も美容に着目していると思います。美容を「美学」として、一つの学問として捉えられる社会にしていきたいですね。そのためには、働く側が幸せでなくてはいけません。そういう会社作り、サロン作り、そしてそういう美容業界であってほしいと思います。現在の美容業界には、一部のオーナーさんだけが利益を上げるという体質が少しあります。そうではなく、働く一人ひとりが美容業界で働くことを誇りに思い、たくさんの方に喜んでいただき、全員で美容という「美学」を広げていける時代にしていきたいと考えているんです。

ビアンカグループ代表
代表取締役
稲垣恵美 さん
東京を中心とする関東圏、そして沖縄に、ネイル・まつ毛サロン「Bianca(ビアンカ)」「B-STELLA(ビーステラ)」、ヘッドスパ専門店「AA JEWEL(エーツージュエル)」、美容骨盤に特化した「AA SEITAI(エーツーセイタイ)」といった、美容サロンを30店舗、飲食店1店舗を展開する。
撮影:坂本 康太郎
ビノタネについて詳しく知りたい方
お問い合わせはコチラ