エステ業界の常識にとらわれない独自のメソッドを開発
鍼灸師のご主人と二人三脚で歩んでこられた百木ゆう子さん
2019/08/20 Salon

「百木ゆう子 Aoyama」 総合美療師 百木ゆう子さん 自宅マンションの一室でご主人とともにハウスサロンをスタートさせた百木ゆう子さん。鍼灸師であるご主人の言葉をヒントに開発したオリジナルメソッド「顔骨リセット」は、セレブリティやモデル、エステ業界で活躍するスペシャリストらに高く評価されています。半年で予約困難なほどの人気店に成長させ、さらには青山に「百木ゆう子Aoyama」をオープンするなど、独自のメソッドを開発し成功させてきた秘訣について、インタビューさせていただきました。
この記事のINDEX
自身の肌トラブルがキッカケでエステティシャンを目指す
――エステティシャンを目指されたキッカケについて教えてください。
百木 大学卒業後、スポーツクラブに水泳のインストラクターとして就職。その後、接骨院に転職しました。気づいたら部下が20~30人になっていて、さらにグループ化して大きくなったときに、幹部に抜擢していただきました。評価していただいたことは嬉しかったのですが、23歳のときに身体の半分だけ発疹が出るというアトピーのような状態になってしまって。皮膚科の紹介で大学病院に通っても、結局原因は分かりませんでした。
そのときに、原因を自分で突き止めようと思ったんです。私の中で、皮膚に詳しい仕事といえば、皮膚科医かエステティシャンの2択しかありませんでした。そこで、肌のことを学ぶために、5年間務めた会社を辞めてエステの学校に通うことにしたんです。
――肌の勉強をして原因は分かったのですか?
百木 いいえ、結局分かりませんでした。でも、会社を辞めた途端、肌の状態が良くなってきたので、ストレスが原因だったんだと思います。心が身体に及ぼす影響力って大きいんだなって、身に染みて感じましたね。
鍼灸師のご主人と始めたハウスサロンが、
半年間で予約困難な人気店に
――鍼灸師のご主人とハウスサロンをスタートさせたキッカケは何だったのでしょうか?
百木 主人は鍼灸を学び、私はエステを学んでいて、お互い鍼灸だけ、エステだけでは経営が難しいと感じていました。
エステは皮膚科のような治療ができないので、かぶれのあるお客様がいらしても「皮膚科で診てもらうようにしてください」としか言えません。鍼灸は気の流れや、まだ病気になっていない未病の方のメンテナンスにも使える施術なので、鍼灸、東洋医学の知識があれば、かぶれにくい丈夫な肌にしていくことや、むくまない、冷えない身体にしていくお手伝いができます。
ですから、鍼の施術をやった後にオイルマッサージをするとか、フェイシャルをやっているとき足に鍼の施術をするとか、鍼灸とエステをコラボしたサロンを船堀の自宅マンションで始めることを決めたんです。
船堀にある「ボディリゾートMOKA」の施術ルーム
――自宅での開業ですが、どのようなPRやプロモーションを行ったのですか?
百木 ポスティングだけです。開業した約20年前は、まだリラクゼーションサロンというものがない時代でした。鍼は気になっていたけど、男の先生が苦手で体験できなかったという女性の方や、逆に鍼の経験はあるけどエステを受ける環境がなかったという、「興味はあるけれど、施術を受ける環境がなかったお客様に」というコンセプトに、ターゲットを明確にしてポスティングしたので反響は良かったですね。
途中からは、利用してくださったお客様が「良いよ」という口コミをしてくれて、気づいたときには予約が困難な状況になっていました。
――予約が殺到するほどの人気店になったことで、新しく「百木ゆう子Aoyama」をオープンされたのですか?
百木 鍼灸とエステを一緒にやっていましたが施術室は一室だけでしたので、どちらかだけ受けたいお客様もいると、どうしてもバッティングして予約が取れないので、自宅から徒歩1分ぐらいのところに新しく店舗をオープンしたんです。お陰様で、YouTubeに施術をアップしたところ、1万人が登録してくれて700万回再生されるほど反響がありました。それで地方からも多くのお客様が来てくださるようになったこともあり、青山に「百木ゆう子Aoyama」をオープンしたんです。ただ、今でも船堀と青山の両方で施術は行っています。
青山にある「百木ゆう子 Aoyama」の施術ルーム
東洋医学を取り入れたオリジナルメソッド「顔骨リセット」
――オリジナルメソッド「顔骨リセット」はどういうキッカケで開発されたのでしょうか?
百木 2003年頃に小顔ブームがあり、さまざまな小顔になる施術が世の中に広まりました。私も小顔になる施術を習いに行って試してみたんです。でも2、3日で元に戻るような表面的な施術ばかりで、根本的なものではありませんでした。皮膚の下には脂肪層、筋肉層、筋膜、骨膜があって、やっと骨があります。地層のように何層にもなっているので、表面を動かしただけでは、その場しのぎになってしまうんですよ。本当に顔が大きくて悩んでおられる方や、骨格に問題がある場合はどうすれば良いのだろうかとずっと考えていたんです。
あるとき、主人に「気の流れやツボって、小顔にも関係あるの?」って質問したんです。そうしたら「胆経という経絡があって、顔を引き締めたり、持ち上げたりする流れを持っている。それは表面だけでなく内臓にも作用する」という話をしてくれました。
それで、今までのエステのメソッドとは異なる、東洋医学のツボを使った施術をしてみようと思ったのが「顔骨リセット」のキッカケです。
骨の上にある薄い骨膜に筋肉が張り付いていて、その位置が悪い場合、いったんはがして正常な位置に直す施術ができるのではないかと考えました。実際に骨にアタックする施術をやってみたら、良い効果が出て長続きするようになったんです。もちろん「顔骨リセット」をしても、お客様のライフスタイルによって維持できる日数は変わってきます。ですから、定期的にメンテナンスを受けていただいて、生活習慣を含めてお客様と二人三脚でやっていきましょう、という感じですね。

表面上ではなく、骨にアタックして施術をする「顔骨リセット」
――お客様によって骨格などが違うと思いますが、一人ひとり施術の仕方は違うのでしょうか?
百木 そうですね。お客様によって、エラ、頬骨など気になる場所は違いますし、生活環境によっても張る場所は変わります。例えば、パソコンを使うお仕事をされている方と、荷物を持って毎日歩いている方では、引っ張られる筋肉が変わるんですよ。ですから、基本的には身体と顔を一緒に行うようにしています。身体のバランスを整えていかないと、1カ所だけではダメ。顔の筋肉もふくらはぎの筋肉も一緒という考え方で行っています。
――エステは機械を使って行うイメージがありますが、手で行う「顔骨リセット」の良さはどんな点でしょうか?
百木 機械には機械の良さがあります。例えば、電気を通すものでしたら、身体にも微弱電流が通っていますので、電気を流して調整できます。ただ、機械では分からない部分を探り出せるのが手で行う良さですね。私の場合は、手でエネルギー交換をしていて、右手で入って左手に還すという意識で行っています。お客様の気を感じて負の部分を調整していくんです。機械での施術が増えてきている中、長いコースだと3時間近くオールハンドでリンパ・筋肉・骨格・エネルギー・スピリチュアル・気までを調整するサロンは少ないと思います。

――百木さんがエステティシャンとしてこだわっている部分はありますか?
百木 私はエステサロンに勤めたことがないので、業界の常識を全く知らずにここまで来ました。今、美容専門学校の非常勤講師をしているんですけど、逆に「そうなんだ」と教えられることが多いくらいです(笑)。普通のサロンでは当たり前のように行っている施術をしていなかったり、逆に他のサロンにはないことをやっていたりするので、それがユーザーや美容ブロガーの方から面白がれているようです。ですから、業界に染まらないようにしていることが私のこだわりかもしれないですね。でも一番こだわっているのは、お客様の期待値を超える結果を提供することです。
――講師と言えば、2014年から2016年までミスユニバースジャパンの講師をされ、今年はミス・ジャパンの講師をされますよね。どんなことを教えているのですか?
百木 ミスユニバースジャパンからは、「これから世界に羽ばたくミスユニバースが、誇らしく世界の舞台に立てるような指導をお願いします。」と言われました。私の場合は、「小顔になるということ」というテーマで、1回目のときは「美しいことは幸せである」ということをお話させていただきました。それがすごく好評をいただいて3年連続で講師を務めさせていただきました。

ミスユニバースジャパンのビューティーキャンプで講師を務めた百木さん
「美容」とは選ばれるため・生きていくために大切なこと
――これまで様々な経験をされてきた中で、今の仕事に活かされていることはありますか?
百木 今まで経験してきたことで無駄なことは一切ないですね。大学で栄養学や保健医学、スポーツクラブでは運動生理学も学べました。また接骨院や医療の現場では身体の仕組みや病気のメカニズムなども学ぶことができました。最初からエステティシャンになられた方と比べると、遠回りはしましたが多岐に渡る知識を得ることができましたが、すべてが今の仕事に繋がっています。それが足し算ではなく掛け算となっているので、どれか一つ欠けていても今の私はいなかったと思います。
――百木様にとって「美容」とは何でしょうか?
百木 「美容」は、男性も女性も、老いも若きも、生きていくために大切なことです。花がきれいな色で咲くのも、鳥が美しい羽根をしているのも、すべて選ばれるためなんです。これは私たち人間も同じで、美しいから選ばれる、美しいから選ばれやすくなるんです。清潔感があることや、声、歯、肌など、いろんな美しさの要素がありますが、美しくなるということは生きることだと思っています。
――最後にサロンとしての展望について教えてください。
百木 後継者を育てようと思っています。私が非常勤講師を務める専門学校の学生が、私のサロンで働きたいと言ってくれたんです。そこで、新人スタッフとして迎え入れました。今はその子を教育することが使命だと思っていて、技術はもちろん、うちのサロンの価値観を伝えたいです。
あと、私は何も知らないままこの業界に入り、先輩方や業界の方からお力添えをいただいてここまで来ました。ですから、私のように業界のことを知らないままのエステティシャンの方々やひとりサロンオーナーが集まれるコニュニティーを作りたいです。みんなが支店のように気軽に相談し合える場所があったらいいなと思っています。
百木ゆう子 Aoyama
総合美療師
エステティシャン・フェイス&ボディクリエーター
美容家
百木ゆう子 さん
1995年、エステティシャンとして活動を開始。これまでに5万人を超える顧客を迎え、数々のエステティシャンを輩出。その才能は、世界中を飛びまわるセレブリティやモデル、自身よりキャリアの長いエステティシャンをはじめ、数多くの業界トップで活躍するスペシャリストらからの称賛を集めている。近年では某国王女が来日時の指名エステティシャンとなる。
クリニック、鍼灸整骨院、スポーツクラブでの経験と研鑽から統合的に体を診る統合美療師として、サロンでの施術をメインに出版、講演を通して「自分次第でいくらでも健康で美しく幸せなれる」ということを、多角的に発信している。
撮影:安場 郁
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