EC(従業員満足度)とCS(顧客満足度)の日本一を目指す
お客様の声を反映させた
全身脱毛サロンを立ち上げた佐伯真唯子さん
2019/07/29 Salon

株式会社ヴィエリス代表取締役 兼 CEO 佐伯真唯子さん 全国に70店舗以上展開し、10代、20代の女性から人気を集める「全身脱毛サロンKIREIMO(キレイモ)」。運営元である株式会社ヴィエリスの代表取締役 兼 CEO 佐伯真唯子さんは、エステティシャンとしてキャリアをスタート。現在は代表として経営に取り組むほか、施術方法の開発やスタッフ育成など幅広い業務に携わっています。そんな佐伯さんに、事業の立ち上げや成長の軌跡、今後のビジョンなどについてインタビューさせていただきました。
この記事のINDEX
お客様の声をもとに考え、
その声に応えるべく立ち上がった全身脱毛サロン
――KIREIMOを立ち上げたキッカケについて教えてください。
佐伯 もともとエステ業界で働いていたのですが、前の職場はすでに組織が出来上がった環境でした。そういう組織を、例えばスタッフ目線やお客様目線で制度を変えるとなったとき、5から10にするのと0を5にするのとでは全く違うんですよ。
そんなとき、ヴィエリス立ち上げのお話をいただいて、0から自分で組織を作れるなら、チャレンジしたいと思ったのがキッカケです。
――しかし、0から1を生み出すには、大変だったことも多かったのではないですか?
佐伯 立ち上げたときは、毎晩深夜の2時、3時まで、土日も関係なく働いていて、休みが月1日もありませんでした。それでも自分たちがやりたくてやっていることですからね。何かタスクを振られてやるのではなく、自分たちが任されたことをやるだけで、それに時間を要していたわけですが、いつも深夜まで今後について話をしていました。
ただ、いくら話したところで店舗がない状態では、結果が見えないんですよね。本当にこのメニューや料金で良いのか、この機械で良いのか。あるいはプロモーション方法も間違っていないかなど、オープンまで分からないことが一番怖くて不安でしたね。悩んでも悩んでも正解が出ないことが一番大変でした。
――立ち上げの際、他社と差別化するために打ち出したポイントはありますか?
佐伯 当時は社員が4人しかいませんでしたが、机上の空論では一方通行になってしまうので、お客様に「今の脱毛をどう思うか」「何があればもっと通いやすいか」「どうしたらもっと行きたいと思うか」など、ウェブはもちろんですが、直接お客様の元に伺ってアンケートを行いました。ですからKIREIMOは、そういうお客様の声から生まれたサロンなんです。
例えば「予約が取りにくい」「寒い」「痛い」などといった声を反映できたら、他社と違った強みが持てるのではないかと考えました。そこで、自社システムで予約を取りやすくしました。また、脱毛しながら何か付加価値を得られるサービスを考えた結果、「スリムアップ脱毛」というものを業界で初めて打ち出しました。そういうところが、KIREIMOの強みですね。


痛みを感じにくく快適に脱毛することかできる
高性能の国産脱毛マシンで快適にお手入れできます。
お客様とスタッフ、
双方の声を聞きながら改善を重ねる
――立ち上げから5年半で70店舗以上まで増えてきていますが、どのように店舗展開されてきたのでしょうか?
佐伯 私たちは日本一を目標にしています。ですから当たり前のこと、誰でもできることをやっても仕方がありません。最初は脱毛サロンを始めると言っただけでも、周囲から無理だと言われました。1年で20店舗に増やすと言ったときも同じです。でも、立ち上げ時から不可能を可能にするという強い想いで、社員が一丸となって取り組んできました。
あとは、仕組みも大切だと思っています。やる気や精神力だけでは、やはりできないこともあります。店舗を作ること自体は、物件を借りて機械を入れるだけなので難しくありません。しかし、ただ店舗数を増やしてきたわけではなく、大事なのは中身。お客様の認知を増やすことやスタッフの定着率、スタッフやお客様の満足度を高める部分をとても大切にしているので、そこを重点的に取り組みながら店舗を展開していきました。

リラックスして施術を受けることができる、広々としたトリートメントルーム
――立ち上げ時からお客様の声を反映されていますが、店舗を増やす中でもお客様の声を元に常に改善されているのですか?
佐伯 もちろんです。コールセンターのフローを変えたり、解約のフローを変えたり。あとは店内の動線ですね。例えば、パウダールームが少ないという声があったので、次の店舗から数を倍しました。他にも、細かなことですが、コンセントの位置によって機械のコードが邪魔して着替えが危なかったりするので、壁のコンセントをやめるなど、今でもお客様の声を改善に繋げています。
とにかく、お客様がストレスなく、KIREIMOに来たらキレイになりながら楽しくなれるサービスをずっと追求しています。それはスタッフに対しても同じです。例えばスタッフルームがとても小さかったんですが、スタッフからの声で今は広くしました。
――お客様だけでなく、スタッフの声も取り入れているんですね。
佐伯 はい。創業当時から「日本一の脱毛サロン」を目標に掲げていますが、それは売上だけではありません。EC(従業員満足度)とCS(顧客満足度)の日本一を目指しています。
――御社は、女性従業員の割合が98%を占めるとのことですが、女性が活躍できる職場を意識されているのでしょうか?
佐伯 女性専用サロンなので、どうしても女性のスタッフが多くなってしまうのは必然だと思います。
本社としては、別に女性を多く採用しようなどと考えているわけではありません。ただ、エステティシャンをしていたスタッフが、経理や人事、店舗運営などの本社勤務になることが多いのも、女性比率が高い要因かもしれません。最初から本社雇用という方が、むしろ少ないんです。現場である店舗がもっともお客様と対面しているので、そこでの経験があるからこそお客様の気持ちや求めていることが良く分かります。これは他の仕事でも活かされるんです。
――お客様の声というのは、どのような形で拾い上げているのでしょうか?
佐伯 私の毎日の日課は、お客様から届くメールを見ることなんです。あとは、Twitterの口コミを見るのも日課です。どちらも5年以上続けています。メールやTwitterには、良い意見もあれば、もっとこうしてほしいというご指摘もありますが、どちらもとても参考になるんですよ。
需要増や美意識の高まりを受けて、
メンズ脱毛をスタート
――メンズ脱毛を始められましたが、どのようなことがキッカケだったのでしょうか?
佐伯 始めたのは3年前ですが、これからは女性だけでなく、男性も脱毛需要が増えてくると思っています。
行きたいのに行けないという男性にも、女性のように気軽で敷居を低くできる脱毛サロンがいいということでスタートしました。今は1店舗しかありませんので、まだ大々的にはPRなどは行っていませんが、来期は打ち出していこうと考えています。
――男性の美意識は、創業当初と比べ変わってきましたか?
佐伯 美意識は高まってきていると感じています。男性も化粧水や制汗スプレーなど、香りがするものを使っていますよね。また、男性も女性と一緒で敏感肌の方もいますし、ニキビを気にしている人だっています。それを今までは、なんとなく女々しいといった風潮がありました。でも今は「性別関係なく同じ人間だよね」という意識が浸透してきていて、それがとても嬉しいです。例えば、男性もカミソリで肌が荒れることはありますし、毎日のケアは大変だと思いますから。ただ、本当に変わるのはこれからだと思います。
自分の強みと弱みを理解することで、
自分らしく働ける

2年連続で「国連NY本部SDGs推進会議」でスピーチをした佐伯真唯子さん
――佐伯さんは、日本人女性としては初めて、2018年、2019年と2年連続で、「働く女性」をテーマに「国連NY本部SDGs推進会議」でスピーチされていますが、キッカケは何だったでしょうか?
佐伯 弊社は1,600人いるスタッフのうち98%が女性ということで、女性が多い企業としての制度や取り組みについて興味を持たれたことがキッカケです。女性が経営層にいて、さらにスタッフもほぼ女性という会社は世界的にも珍しいみたいです。そこで、女性が長く働ける環境をつくるためにどのような取り組みをしているのか共有したいということでした。
ただ、恥ずかしながら2018年のときはSDGs(国際サミットで採択された持続可能な開発目標)について社員の知識がなかったので、1年かけてまずは社内で「SDGs」の認知度を上げてきました。今年はこれまでやってきたことの報告と、今後についてスピーチさせていただきました。
――スピーチで「女性たちが自分らしく、ポジティブに生きることができれば世界もきっと良い方向に進んでいく」と話されていましたが、佐伯さんが考える「自分らしさ」とは、いったい何なのでしょうか?
佐伯 私が思う「自分らしさ」とは、自分を一番好きでいること、そして自分をよく知っていること。それが「自分らしさ」に繋がると思います。
見た目はいくらでも磨くことができますが、中身がそのままでは意味がありません。やはり自分の内面を見て知り、自分の強みを理解することが大切ではないでしょうか。自分の強みと弱みが分かれば、弱みはいろんなトライ&エラーを繰り返したらいいですし、強みはもっと強めていけば他人と比べる必要もなくなります。結果、自分らしくいられると思うんです。
自分を知ることで、こうしたい、こうなりたい、という思いが出てくると思うんです。
――自分の強みと弱みを知るために、佐伯さんが具体的にやっていることはありますか?
佐伯 私は、自分らしさを出して働くために、例えば、部下に指導したときに言葉が強すぎなかったか、別の言い方の方が伝わったのではないかなど、毎日寝る前に自分と対話しています。
人は、どうしても楽な方に行きたがりますし弱いものです。ですから、1分でも5分でいいので、毎日、自分自身と対話して、自分をよく知るようにしています。
――自分との対話を毎日続けることで変わってくると?
佐伯 そうですね。私自身、インポスター症候群(必要以上に自分を過小評価してしまうこと)だった頃がありました。世の中で私が何の役に立っているんだろう、何のために生まれてきたんだろう、と思っていたんです。
でも、自分と向き合いだしてから、そういう考えは無くなりました。そうすると、自然と仕事もうまく回るようになっていきました。
――最後に、今後の成長に向けたビジョンを教えてください。
佐伯 KIREIMOでは世間から面白いと思ってもらえるような、プロモーション戦略を早く考えたいですね。多くの方に、あの企業は面白いと知ってもらえたら、それがスタッフのモチベーションにも繋がりますから。
会社としては、痩身エステサロン「SLENDA(スレンダ)」、完全紹介制高級パーソナルジム「PLUS ME(プラスミー)」という新事業があるので、KIREIMOに負けないところまで成長させていたきいですね。
あとは2年連続国連に呼んでいただいたので、SDGsの取り組みなど認知度を高め、お客様や他社さんに対しても広められるよう起点になれればと思っています。

株式会社ヴィエリス
代表取締役社長 兼 CEO
佐伯 真唯子 さん
大学卒業後、2003年に大学のグループ企業に企画事務スタッフとして入社。
その後、美容の専門学校に入学し、2005年からエステティシャンの仕事を始める。
2013年、現在の職場である株式会社ヴィエリスに創業メンバ―として入社。スタッフ育成やサービス企画、売り上げ管理、人材採用、コールセンターなど幅広い業務に携わった後、2019年3月より代表取締役社長 兼 CEO(最高経営責任者)に就任。

株式会社ヴィエリス
住所:東京都港区六本木4-8-6 パシフィックキャピタルプラザ6F
TEL:03-6721-1641
https://vielis.co.jp/
https://kireimo.jp/
撮影:田島 雄一
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